―就農されたきっかけは何ですか。
またデコポンの栽培を始められたきっかけは?
【修一さん】
私は学校卒業後、会社に就職する予定でしたが、もともと家がみかんを生産している農家で家の都合があり、家の後を継ぐことになりました。
【友子さん】 私ははじめ会社に勤めており、10年前から就農し手伝っています。
― 今直売所等ではデコポンをはじめみかんがたくさん並んでいますが、光アさんも収穫や出荷でお忙しいのでは?。
【修一さん】 そうですね、デコポンに関しては昨年の内に加温物の収穫が終わり、酸がぬけるまで様子を見て1月4日から露地の収穫を始めました。
その後屋根掛けの収穫を行います。
―では現在の1日のお仕事の流れを教えて下さい。
【修一さん】 朝から夕方まで収穫です。園地で収穫した果実をある程度選別し、夜貯蔵庫に並べる作業を行います。
―12月下旬から寒い日が続き、天草地域では数十年ぶりの積雪量を観測しましたが、被害はありませんでしたか?
【修一さん】有明では雪と雨が混じっていましたので、そこまで被害はなく助かりました。
天候・災害の被害もありますが、イノシシやヒヨドリなど鳥獣の被害が深刻です。昨年の倍は被害にあっているのではないでしょうか。イノシシは果実を食べるだけでなく枝を折ってしまいます。直径10aもある枝を折っておりびっくりしました。ヒヨドリによる食害も、これまでで最も大きくなっています。河内晩柑は食べず、デコポンや温州みかんばかり食べられます。様々な策を講じますが、すぐ効かなくなります。なかなか難しい問題ですね。
【友子さん】上はヒヨドリ、下はイノシシに食べられ、地面にはかじられたみかんがいっぱい落ちているのを見ると悲しくなりますよ。
― 年々増え、様々な作物に影響が出ているようですね。他にもデコポンを栽培する上で大変なこと・注意しなければならない事は何ですか?
【修一さん】デコポンは、花がついても実がとまらない『生理落果』が多い品種です。その時に乾燥させず、いかに落果を防ぐかが一番難しいところです。
後は栽培暦通りに出来ればうまく行くのですが、天候や災害などで1つでもずれると難しくなります。
― では光アさんがデコポンを栽培する上で工夫していることやこだわっていることは何ですか?
【修一さん】 これは母から教わったことですが、地表近くにある表層根を大切にすることです。表層根が良くなければ、酸も抜けないし糖も上がらない。根を大切にするため、除草剤を使いません。その分除草作業に手間はかかりますが、おいしいみかんを作るためなら、苦労を惜しみません。
― 農業をしていてよかったと思うこと、または嬉しかったことは何ですか?
【修一さん】 自分が農業を始めて建てた加温ハウスに定植したデコポンが3年後、初めて実を付けた時はとても嬉しかったです。今でも忘れられません。
― 反対に大変なことは何ですか?
【修一さん】 なかなか価格が上がらないので、経費を押さえなくてはならないのですが、抑え過ぎて品質を落とすわけにもいきません。そこの見極めが難しく、まだまだ研究の余地がある所ですね。その上で秀品率・単収の向上を目指し、考えながら作業を行っています。
― 友子さんは会社にお勤めだったということですが、農業はいかがですか?
【友子さん】肉体的に大変ですが、勤めのように時間に縛られることがありません。そこが大きな違いですね。
昨年から、6月以降の収入になるようにと、甘長とうがらしなど野菜の栽培を始めました。とにかく忙しかったです。
―今年も多忙な1年になると思われますが、今年の目標を教えて下さい。
【修一さん】 改植した加温デコポンを、今年初結果させることです。
―将来の夢・今後の目標は何ですか?
【友子さん】 面積を広げて収量をアップさせるというよりは、いいみかんを作りたいです。
【修一さん】 「うちのみかん」とわかるようなブランドというか、我が家の味を作りたいです。多くの消費者に喜んで食べてもらえるみかん作りに励みたいと思います。 |